2020.10.08

2992今村豊選手(山口)①

10月8日、現役引退を発表されました。

 

今村選手と言えば「全速ターン」の第一人者で、
・2880勝
・SG7V、GⅠ48V含む142V
・生涯獲得賞金29億4144万6172円
・78期連続A級
まさにボート界のレジェンドレーサーです。

 

39年の長きにわたる現役生活お疲れさまでした。

 

私がボートレーサー養成所時代、訓練生に向けて講話をして下さっています。
ノートにメモした内容を紹介します。

 

 

(2011年8月30日、2992今村豊選手講話)

 

  訓練時代はとにかく上手くなりたいと思って、色々な事を考えていましたね。「いかにして1800mの最短距離を走るか」「ターンマークは飛び越えられるんじゃないか」「そのためにバウはどこまで持ち上がるのか」など、とにかく不可能を可能にできないかと考えていました。転覆も多かったですが、全速ターンを必死に練習しました。恐怖心はなかったです。

 

  デビュー後も人より努力することが大事です。何も考えずに乗るだけの人は凡人です。自分が上手くなりたいという気持ちがなければ上達はしません。人から言われてではなく、自分で考えて乗ることです。やはり一周でも多く乗ることですね。今の若い選手にはそれがありません。師匠に怒られるから乗るのでは意味がないんです。昔の自分より乗っている人を見たことがありません。努力しない人に限って自分はやってると言います。努力する人はまだ足りないと言っています。日本一強い選手が日本一努力してるんです。収入面で満足しても勝てません。緩まず上を目指して、勝つまでやり続けることです。若い選手はとにかく乗ってターン技術を磨いから、プロペラ、整備を覚えていけば十分です。
 

  稼ぐ選手は水面以外の動きも良いんです。レースに参加する時は施行者、競走会、選手など関係者に挨拶は必ずすることです。開催が終わったときもそうです。時間が空いたら人と会話をして、全ての人に好かれることが大切です。稼げば稼ぐほど、人に好かれなければなりません。天狗になってはいけないし、周りから一流と認められなければいけません。最初は先輩選手と会話することも難しいかもしれませんが、会話をして名前を覚えてもらい、中に入っていく努力が必要です。稼ぐ選手はハッキリと会話をします。技術だけが稼ぎの差ではないんです。
 
  私のレースの美学は、他人にボートを当てないことです。スマートに勝つ。誰からも認められる勝ち方がしたいんです。だから、記念レースで相手が突っ込んできたら怒ります。「そこまでしないと勝てないのか?技術はあるだろ」と。
 
  簡単に勝てるものじゃないですが、焦らず努力を惜しまず。フランイングは1年間せずに、とにかく乗る時間を作って下さい。
 
 
以上がメモの内容です。
改めまして貴重なお話、ありがとうございました。