2025.10.27

チルト3度の威力はどこまであるのか

 チルトの正式名称は「チルトアジャスター」で、ボートに対するモーターの取り付け角度を変える金属板です。ボートレースの初期のモーターぱ「アジャスターボルト」を使ってモーターの取り付け位置を上下させていました。その後に出たのがライナーと呼ばれるベニア板です。これをモーターを取り付けるトランサムの上に積んで高さを変えていました。モーターの取り付け位置を高くするとプロペラが水面に近くなり、プロペラにかかる水圧が低くなるので高回転を引き出していました。
 ライナーに代わった導入されたのがチルトです。チルトを上げるとボートの舳先が水面より高くするので、ボートの節水面積が減ります。空気抵抗の800倍もある水の抵抗が減るので直線のスピードの乗りが良くなります。しかし、ターンでは重心位置が高くなった分だけターンが不安定になるというデメリットがあります。チルトを上げた捲りが決まれば良いのですが、失敗すると大敗のリスクがあります。モーターの最高回転数が上がるで、調整も変わります。プロペラの形も変わります。特定の選手しかチルトMAXの効果を発揮できません。

●チルト3度使用選手の成績(過去1年間)
登番 選手名 出走数 1着(1着率) 2着(2着率) 3着(3着率)
4571菅  章哉 105 39(39.1%) 9(45.7%) 11(56.2%)
4535笠置 博之  97 29(29.9%)  7(37.1%) 16(53.6%)
4861田中 宏樹  73  5( 6.9%) 11(21.9%) 15(42.5%)
4692酒井 俊弘  45 12(26.7%)  4(35.6%)  5(46.7%)
4213重富 伸也  40  4(10.0%)  7(27.5%)  8(47.5%)
4561藤山 翔大  39 14(35.9%)  3(43.6%)  7(61.5%)
4619伏田 裕隆  34  6(17.7%)  2(23.5%)  4(35.3%)
3857阿波 勝哉  30  4(13.3%)  6(33.3%)  1(36.7%)
4552杉山 勝匡  28  5(17.9%)  3(28.6%)  4(42.9%)
3898平田 忠則  26  3(19.2%)  5(38.5%)  5(57.7%)
5158宮脇 遼太  12  1( 8.3%)  1(16.7%)  4(50.0%)
5199垂水  悠  12  1( 8.3%)  3(33.3%)  0(33.3%)
3876中辻 崇人  11  3(27.3%)  4(63.4%)  2(81.8%)
4204柴田 大輔  11  0( 0.0%)  0( 0.0%)  2(18.2%)
4625渡邊 裕貴  10  3(30.0%)  1(40.0%)  1(50.0%)

チルト3度初使用組は舟券の対象外

 過去1年間のチルト3度を使用した選手の成績を調べると、B1級で勝率の低い選手がチルト3度を使ってもほとんど効果を出していないことがわかります。たまに使う中辻のような選手がいるので、A級のチルト3度は「買い」、B級は「1着なし」と覚えておいた方が良いでしょう。ただし、B級でも3着には絡んでいます。チルトMAXは1着か着外といった考えは間違いのようです。
 欄外になるチルト3度の10回未満の選手は、1着なしだけでなく、2、3着すら入っていません。1回、2回組は舟券の対象から外しても構いません。

●チルト2度使用選手の成績(過去1年間)
3857阿波 勝哉  68 16(23.5%)  9(36.7%)  9(50.0%)
4415下出 卓矢  57  9(15.8%)  5(24.6%) 11(43.9%)
4930佐藤  悠  47  8(17.0%)  4(25.5%) 18(63.8%)
4561藤山 翔大  42 15(35.7%)  5(47.6%)  4(57.1%)
4610佐藤 大佑  31  9(29.0%)  7(51.6%)  5(67.7%)
5038金田 智博  31  3( 9.7%)  8(35.5%)  5(51.6%)

チルト2度はボックス券

 競走水面の制限からチルト3度を使用できないレース場があります。江戸川と徳山ですが、3度のレース場でも2度を選択する選手がいます。チルト3度から2度に変えるとターンがしやすくなるのでしょうか。1着よりも3着の方が多い選手がいます。1着か着外といった大味な走りが減って3着までに食い込んできます。チルト2度で走る選手がいれば、ボックスの対象にした方が良いようです。