強い向風だと捲りが決まらない

　「向風は捲り、追風は逃げ」というボートレースの格言があります。ところが、この格言が有効なのは風速次第というのを今村豊さんから教えてもらいました。選手がスタートをするときに注意していることは、起こしのタイミングと空中線の見え方だそうです。起こしのタイミングは、大時計の文字盤と秒針の位置で決めます。風速によって起こしのタイミングが変わります。文字盤の１秒間を２分の１、さらに２分の１のまた２分の１というように分割して、起こしのタイミングを調整します。加速状態に入ってからは空中線が目安になります。８０～８５ｍ空中線、４５ｍ空中線の通過時に、ボートの舳先がどこにあるかで確認します。通常は空中線が前に見えるものですが、強い向風になると早めに起こす関係で、空中線を背負うようにして通過します。空中線が視界から消えた状態になるのです。不安になり、全速でスタートが切れなくなります。これでは捲りは決まりませ
ん。